2年前に税理士法人でアルバイトをしていた際に労務・社会保険で当時の代表の策略にはまりかけた話をします。
アルバイトの有給は取得可能か?といったことや
退職時の社会保険の喪失のタイミングは?といったことについてもお伝えします。
私はこんな策略にはまりかけました
当時働いていた職場は社員が約10名、アルバイト・パートが約10名といった構成でした。
典型的な中小企業といった感じで意思決定はほとんどがトップダウンでした。
皆が代表の言動に常に気を遣って仕事をしているような環境です。
有給休暇取得は異常だという雰囲気
この職場では、アルバイトはともかく、社員の有給休暇取得でさえ慶弔でなければ認められないような雰囲気でした。
そんな状況の中でアルバイトが有給休暇くださいなんて、、言えませんよね。
一般の企業ではよくあることですが、「退職が3月末であれば、3月15日からは有休消化」なんてこともできません。
そのような相談をしたら激昂されて関係性が悪く辞めることになってしまいます。
もちろん私も例外なく、有給休暇を取得させてくださいとは言い出せませんでした。。
土曜日を出勤日とし有給休暇を強制取得
近年の労働基準法の改正で、有給休暇の取得が義務化されました。
簡単にいうと、「全員最低5日は1年以内に有給休暇を取得してね」というものです。
違反すると会社に罰金があります。
これに対する職場の対応は、「土曜日を追加で出勤日とし、その日を有給休暇取得したことにする」というものです。
代表が全体会議で声高々に嬉しそうに発表するもんだから
社員の方たちは呆気にとられていました。。
アルバイトは残業代がないのが当たり前
税理士法人だったこともあり、確定申告時期はアルバイトでも終電近くまで残業がありました。(定時は9時-17時です)
当時は税理士試験の勉強をしながらだったこともあり一刻も早く帰りたかったのですが
残業代がでるなら、、と残業代を唯一の望みにしてました。
もうお分かりだと思いますがもちろん残業代もありませんでした。(通常の賃金はきちんと支払ってくれただけでも救いです。。)
社会保険の喪失タイミングを調整され無保険に
これが一番決定的で、私が社会保険労務士の勉強を始めたきっかけの一つでもあります。
就職が近づいた退職間近の3月下旬、上司からこんなことを言われました。
「退職日を3月30日にしてもええか?」
それがどういうことを意味するか分かっていなかった私は二つ返事で承諾しました。
その後、社保に詳しい友達から聞き、今自分はとんでもないことをされているんだと知りました。
社会保険(健康保険や厚生年金です。)の資格喪失日は退職日の翌日となり、
資格喪失日の前月分までの社会保険料を会社と折半して負担することとなります。
少しややこしいので、本来あるべきパターンと今回のパターンを分けてお伝えします。
今回・・・3/30退職→3/31資格喪失→3月の前月の2月までは社保に加入している状態
つまり、退職日を1日変えられるだけで、3月は「無保険」になってしまうのです。
会社勤めの場合は、保険料を会社と自分で折半して払うのでその「折半部分」を節約しようという魂胆のようです。
たかがアルバイトの安い給料に対する社会保険の折半分(2万円くらいです。)も払いたくない、、、異常ですよね。
3月は無保険になるので市役所などへ行って年金や健康保険の手続きもしなければいけなくなります。
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私が無知なりにとった対応と法律の観点からの解説
当時社会保険については全く知りませんでしたが、私は下記の妥協点にもっていきました。
本来は有給休暇をアルバイトも取得できるということを主張し、その上で有給休暇を諦める代わりに退職日を末日にしてもらうように交渉
残業代については、会社との関係を悪いまま退職するのが嫌だったのでもしもの時の為に賃金台帳、給与明細を全て印刷、保管
無知にしてはなかなかの判断だったのではないかなと思います。
年次有給休暇:労働基準法
パートタイム労働者も「比例付与」として正社員よりは少ないものの取得が認められています。
詳細は厚生労働省HPをご参照いただければと思いますが、一例として、週4日勤務で1年半以上勤務すれば「8日」有給休暇が付与されます。
つまり、アルバイトにも当然のように有給休暇の権利があります。
残業代:労働基準法
一日の労働時間が法定労働時間(一般的には8時間)を超えたら残業代(割増賃金ともいいます)を払う義務があります。
社員だけではなく、パートタイマーやアルバイトにも残業代はあります。
ではいくらもらえるのか?
時間外労働(8時間を超えた部分)は2割5分以上、深夜労働(22時以降)も2割5分以上と決まっています。
例をあげると、時給1,000円の人が13時-23時(休憩1時間)の9時間勤務をした場合、
②残業代・・・1,000円×0.25=250円
③深夜労働・・・1,000円×0.25=250円
④①+②+③=9,500円となります。
社会保険の喪失のタイミング:健康保険法 等
社会保険の喪失タイミングは上述したように退職日の翌日です。
退職日をある程度調節することによって会社としては社保の折半額を低く抑えるということも可能になります。
これは違法ではないので、このあたりを頭の片隅に置いておき、いざというときは交渉することが大切かなと思います。
まとめ
今回は実際に私の体験談をもとに、無知は怖いということをお伝えしてきました。
少しでも無知の怖さが伝われば幸いです。
私もこの経験があったことで現在社会保険労務士の勉強をしています。
勉強を進めるにつれ、昔の疑問が晴れていくのがスッキリする一方でモヤモヤします、、
少しでも知識をつけよりよい人生にしていきましょう。
それではっ!